音声通信方式の変遷・多数の人が同時にスマホで通話ができるのはどうして?
携帯の音声通信方式には、いろいろな変遷があります。
今では、多数の人が同時にスマホで通話ができるのはどうしてなんでしょうか?
あまり考えずに使ってますが、すごい技術があるんですね。
簡単にまとめてみます。
「通信方式の変遷」 常にサービスの向上を忘れない!
今では通信技術が発達したおかげで、多数の人が同時にスマホや携帯電話で通話しても繋がりにくくなることはありません。
・・・災害時などは別かもしれませんが。
この今の便利な状態になるまでに、通話の通信方式が発展してきました。
それは携帯会社が常にサービス向上の精神を持っていたからにほかなりません。
通信方式には現在に至るまで2段階の進化を遂げています。
今回のキーワードは「アナログ」「PDC(ピーディーシー)」「CDMA(シーディーエムエー)」「圧縮」です。
「通信方式の変遷」の簡単な流れ
通信方式は3世代に分かれます。第1世代が「アナログ」、第2世代が「PDC(ピーディーシー)」、第3世代が「CDMA(シーディーエムエー)」です。
簡単な流れは以下の通り↓
第1世代:アナログ
「音声をデータ化したものをそのまま電波で送るよ」
結果
- 同時に通話できる数を多くしようとすると、音声品質が下がる
- 圧縮した音声データを電波で送ることで同時に接続できるユーザをより多くした。
第2世代:PDC(ピーディーシー)方式
「同時にいっぱい繋げられるぜ!」
結果
- 同時に通話できる数が増加しても音声品質の低下を妨げることに成功!
- 圧縮技術をさらにさらに改良してもっといっぱい繋げられるようにした。
第3世代:CDMA(シーディーエムエー)方式
「もっといっぱい同時に繋げられるぜ!しかも速度も速いぜ!」
結果
- 同時に通話できる数がさらに増加し
- 速度も向上
- 音声品質も劣化しない
通信方式 進化の鍵は?
ズバリ音声データ圧縮技術の向上です。
通信できる電波には帯域幅というものがあります。
「幅」ですから限界があります。この帯域幅を多く使うことで良い音質で通話ができます。
しかし、多くの台数を接続しようとすると、1台で占有できる帯域幅が狭くなります。そうすると、音声信号を送る際に少ししかデータが送れないので音質が劣化してしまうのです。
アナログ時代は発した声(音)と周りの雑音をすべて信号に変換し相手に送っていたため、音声データが大きくなっていました。
そのため、一台あたりの電波の占有率が高く、音声の劣化を抑えるために同時に接続できる台数が限られてしまっていました。
その問題を解決すべく編み出された方法がPDC方式です。
これは音声データを圧縮したものを電波で送ることで、1台あたりの占有率を下げ、より多くの台数を接続できるようにしたものです。
これによりアナログ時代よりも多くの台数を接続しても音声が劣化しないようになりました。
そして、このPDC方式をより高度に発展させた方式がCDMA方式です。
PDC方式よりも音声データの圧縮率を上げ、更に多くの台数が同時に接続できるようになりました。
データを圧縮すると音声品質は下がるのではないか?と思う人もいると思います。
正解です。下がります。
しかし、この圧縮技術は音質が極力劣化しないように工夫されています。
例えば、雑音に近い音をカットするとか人間の聴覚機能的に聞き取りやすい部分は残し聞き取りにくい部分をカットして取捨選択をするなど、会話に必要な部分だけを効率的に残すことができるよう細かな工夫がなされています。
要するに、音声データ圧縮技術によって、帯域幅の占有率が狭くても音質を確保できるようになったということです。
こうした技術の変遷を経て、今現在日本の携帯電話やスマートフォンでの通話が安心して多くの人に利用できるようになってきたのです。
要点
- 通信方式はアナログ→PDC→CDMAと方式が変わっていった
- 方式が変化する過程でより多くの台数が同時接続しても音質が劣化しないようになっていった
- 音声データ圧縮技術は圧縮の過程で極力音質を劣化させないように工夫されている
執筆:シム・ヒカリ